はじめに
FiiO「M21」購入したので、レビューをまとめます。
FiiO M21 スペック概要
- DAC: Cirrus Logic CS43198 × 4基
- SoC: Qualcomm Snapdragon 680
- メモリ: RAM 4GB / ストレージ 64GB
- OS: Android 13ベース
- バッテリー: 4000mAh(連続再生15時間)
- 出力: バランス 950mW、アンバランス 520mW
外観・デザイン
前モデルJM21から大きく進化したのが筐体の質感だ。樹脂製から金属製に変更され、手に取った瞬間に伝わる高級感は5万円台のDAPとは思えない。4.7インチのディスプレイは視認性が良く、タッチ操作もSnapdragon 680のおかげでサクサク動作する。
背面のデザインは洗練されており、持ち運びしやすいサイズ感も魅力的だ。ただし金属製になったことで、JM21と比較すると若干重量は増している。
音質評価
全体的な印象
CS43198 DACを贅沢に4基搭載した効果は明確に音に表れている。音の分離感と定位の明瞭さが素晴らしく、複雑な楽曲でも各楽器の配置がくっきりと分かる。全体的にナチュラルな音作りでありながら、情報量は豊富だ。
帯域別の特徴
高域
繊細で伸びやか。シンバルの余韻やストリングスの倍音が自然に響き、刺さることなく心地よく耳に届く。解像度が高く、細かなニュアンスまで拾い上げる。
中域
厚みと温かみがあり、ボーカルの存在感が際立つ。声の質感や息遣いまで感じ取れ、特にアコースティック楽器との相性が良い。
低域
力強くタイトで、リズム感が正確。前モデルJM21が高域寄りでやや軽めだったのに対し、M21は低域の厚みと空間の広がりが顕著に向上している。
ジャンル別の相性
- ジャズ・アコースティック: ◎ 楽器の質感が素晴らしい
- クラシック: ◎ オーケストラの広がりと定位が秀逸
- ロック: ○ エネルギッシュだが、若干おとなしめに感じるかも
- EDM・ヒップホップ: ○ 低域は十分だが、よりパンチを求める人には物足りないかも
機能性
Pure Musicモード
Androidの不要な機能を停止し、音楽再生に特化したモード。ノイズフロアが下がり、よりピュアな音質が楽しめる。通知などに邪魔されずに音楽に集中できるのも良い。
デスクトップモード
外部電源供給により、内蔵バッテリーを保護しながら950mWの出力を実現する。据え置きDACアンプと比較しても遜色ない音質で、自宅では据え置き機として、外出時はポータブルDAPとして使える柔軟性が魅力だ。
その他の動作モード
- DACモード: PCやスマートフォンの外付けDACとして使用可能
- Bluetoothレシーバーモード: ワイヤレスで音源を受信できる
デュアルUSB-C端子により、充電とデータ転送を同時に行える点も便利だ。
バッテリー性能
4000mAhのバッテリーは公称15時間の連続再生が可能。実使用では音量や使用モードによって変動するが、丸一日の外出でも十分持つ容量だ。JM21から約1.7倍に増量されたことで、バッテリー切れの心配が大幅に減った。
操作性
Android 13ベースのOSとSnapdragon 680の組み合わせは快適そのもの。アプリの起動や楽曲の読み込みもストレスなく、ストリーミングサービスも問題なく使用できる。
FiiO独自のUIは直感的で、初めてDAPを使う人でも迷うことは少ないだろう。
前モデルJM21との比較
- 筐体: 樹脂 → 金属製で高級感アップ
- DAC: 2基 → 4基に増強
- バッテリー: 約1.7倍に増量
- 音質傾向: 高域寄り → バランス型で低域の厚みが向上
よい点
- 約5万円とDAPとしてはエントリークラスだが、性能はミドルクラスに引けを取らない
- Andoidベースのため、ストリーミングサービスも使える
- 保護フィルムやカバーがデフォでついているので、余計なアクセサリーの購入が不要
- デスクトップモード搭載で自宅等で使う場合にバッテリーの消費を抑えられる
気になる点
完璧に見えるM21だが、いくつか気になる点もある。
- 金属筐体になったことで、冬場は冷たく感じる
- 本体のみでの音楽管理はやや煩雑(PCでの管理推奨)
- ストレージが64GBなので、大容量ライブラリの場合はmicroSDカード必須
- なぜか、テスト版のアプリが入っていた。
FIIO M21をお勧めしたい人
- 初めての本格DAPを探している方
- エントリーからミドルクラスのDAPからのステップアップを考えている方
- 据え置きとポータブルを兼用したい方
- コストパフォーマンスを重視する方
逆に、最高峰の音質を求める方や、10万円以上のハイエンドDAPからの乗り換えを考えている方には、上位機種を検討することをおすすめする。
総評
FIIO M21は、約5万円という価格設定で驚異的なコストパフォーマンスを実現したDAPだ。CS43198を4基搭載した音質は、この価格帯では圧倒的。据え置き機としても通用する性能を持ちながら、持ち運びも可能という柔軟性も魅力的だ。
初めての本格DAPとしてもお勧めできる一台です。